風情   October , 2014 


 強面の主人公が美味しそうに幸せそうに一人ご飯をするドラマのSeason 4が、この夏も1クール(三か月)放送されました。深夜の番組はなかなか見られませんでしたが、昨夏のSeason 3で紹介された近くの洋食店へ初めて出掛けタイミングよく美味しく飲食することは出来ました。

 午後六時開店の三十分後に行くと予約済みの二か所を除きテーブル席は全て埋まっていて、三つだけ空いているカウンター席を勧められました。とりあえずの飲み物とマッシュルームガーリックなど数品を私達がオーダーする頃には次々と客が入ってきて、「満席です」と断られていました。
 中央に大きなテーブルがありその両脇には数人掛けのテーブルが幾つか置かれ二十数名でいっぱいになってしまう店内には、木製品の温もりと昭和の香りが漂っていました。
 カウンターの中は厨房になっていて洗い物や雑用は祖母、調理はきびきびと手際よく息子、そしてウェートレス&レジ係は母親と、家族が力を合わせて切り回している店でした。
 カウンターの厨房側に置いてある小皿を取り皿として自由に使わせて貰ったり、近くにいるシェフ(息子)に出来立てのお勧め料理を手渡して貰ったり、ボリューム満点のチキンカツが目の前を横切って行くのを見て歓声をあげたりと、なかなか快適なカウンター席でした。料理が運ばれてくるまでとても待たされるという口コミでしたが、そのように感じなかったのは時間帯と座った場所がよかったからでしょう。

 注文した料理で外れたものは無く、胃袋も心も満たされて爽やかなシェフの笑顔に送られ店を出ました。
 振り向くと通りに面した店舗外壁の大きなネオンサインが漆黒の中で光を放ち、青・赤の横長の外枠の中で“RESTAURANT ○○”という緑色の横文字が際立っていました。めまぐるしく変わっていく景観の中に昔と同じような風情の店があると、心が和みます。
 この店は午前三時迄営業していてがっつり食べたい人達も多数来店するそうですが、その頃は父親がカウンター内の調理場に入っているのでしょう。オーダーしたものが出てくるのに時間が掛かったとしても、アットホームな雰囲気の中で客は会話を楽しみワイワイガヤガヤしながら料理を待っているのでしょう。
 頑張りすぎないで自分達のペースを保ち、家族で息長くこの店を続けて行ってほしいものです。

 昨年漏電による火災が起きて建て替えられた明治13年創業の神田の老舗そば店が、今月下旬1年8カ月ぶりに営業再開しました。高層ビルにする案も出たそうですが店主の意志は固く、1923年に建てられた木造2階・数寄屋造りの店と同じ佇まいの鉄骨造り平屋建て(一部2階)となったそうです。開店を待ちわびた多くのファンで賑わっておりサービス内容も以前と変っていないというニュースを見て、嬉しくなりました。
 これでもかと言うほど都心では高層ビルが建てられていますが、そういう建物を見ても感動したり風情を感じることは殆んどありません。心惹かれる情景が減っていっていることに、一抹の寂しさを感じています。



   10月8日の皆既月食

                  



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