安 全   
 January , 2015
 


 午後六時前、タクシーに乗りました。車が動き始めメーターが“賃走 730円”に変わる前に、“1806”という数字が画面に見えました。GPS搭載で時刻に誤差は生じないはずなので、18時06分ではありません。
 電車やバスが現金(きっぷ)よりもICカード運賃の方が(200円→195円、220円→216円など)安くなるようにタクシーにも何か特典があって1806円の乗車料金になったのかと思い、運転手に尋ねてみました。

 私の前に乗った人はカードで支払ったので、端数のつく運賃だったんですか?
「あ〜、あれは自分の勤務時間が表示されていたんですよ」
 勤務時間を超えると、どうなるんですか?
「自動的にスーパーサイン(電光表示)が“回送”になって、お客様を乗せることが出来なくなります」
 お客さんが乗っている場合は、どうなるんですか?
「降車するまで、メーターは動いています」
 働きすぎないように、会社がきちんとサポートしてくれているんですね〜。
「指導が入って、うちの会社の全車に設置されたんですよ。体にはいいけど、以前と比べると売上がね〜」と、長年そこに勤務しているというタクシードライバーの受け答えは微妙でした。

 三年前の4/29早朝に関越自動車道で起きた大惨事・高速ツアーバス運転手の居眠りによる防音壁衝突事故は、衝撃的な事件でした。格安バスを利用する乗客の多さやコスト減に奔走し安全対策を怠り責任の所在さえあやふやになっていた業界の実態に、愕然としました。これがきっかけとなって高速ツアーバスは廃止され高速路線バスに集約されましたが、居眠り運転による事故は相変わらず発生しています。
 今月中旬の朝には、近県の駅から東京駅へ向かっていた高速バスの最前列の乗客が運転手の居眠りに気付き近くのサ−ビスエリアに停車させて後続バスに乗客全員が乗り換えた、という報道がありました。会社側からは、“勤務状況に問題はなかった”、運転手からは、“睡眠時間に問題はなかったが、うとうとしてしまったのは気の緩みかもしれない”というコメントがあったようです。
 デジタル無線機が備わっているタクシーに乗ると、“休息を取りましょう”という画面表示を見かけることがあります。車のエンジンが長い間ONになっていると、ドライバーに注意を喚起するそうです。またデジタルタコグラフのデータを活用して安全運転の指導や長時間運転の予防に会社も取り組んでいるようですが、運転手がゆとりを持って働けるように待遇面での改善も推し進めてほしいものです。一方運転手も、人の命を預かっているのだという自覚・責任感・職業人としてのプライドを持って仕事に励んでほしいものです。

 安全と空気はタダの時代ではなくなっている現代、私達にも物事を見極める目が必要とされています。
 飛行機・貨客船等の交通機関、日常生活に関連する商品・店等で不安や疑問に感じたことは、黙認しないでいたいものです。クレーマーやモンスターになるのではなく、皆が安心して暮らせるように一人一人が前向きに行動して行ったら、“安全”という言葉をもう少しは信じられる世界になるでしょう。



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