あきちゃん     April, 2005


  
もう随分前から媒酌人を立てない新郎・新婦が増えてきて、二人の紹介は司会者がするパターンが多くなってきた。その日打ち合せした二人も私が紹介する事に成り、二人の経歴を聞いていく内、新郎の喋ってくれた話に思わず微笑ましくなった。

 履歴書風の紹介文だと、味も素っ気もないので、「幼少の頃どんなお子さんでした?何かエピソードが有ったら教えて下さい」と言ったら、新郎、暫く考えて、小学2年生の時、近所の友達と数人で裏山へ遊びに行き、そこでランドセルを無くし、とうとう出てこなかったそうだ。

 それから何度もその裏山へ遊びに行っているのだけれど、小学5年生のその日、学校で面白くない事があり、母親に悪態をつき、ひどく叱られてしまう。
 家を飛び出した新郎は、久し振りに一人で裏山へ出掛け、そこで偶然にそのランドセルを見つける。風雨にさらされ、ぼろぼろになっていたけれど、中に入っていた教科書やノートの字は読みとれた。ノートを捲ると、紛れもなく記憶に残っている自分の字だった。

 そこには、「きょう、お母さんといっしょに、てつぼうする。さかあがり、一回できた。あしたから一人でできるようにガンバルぞ」と、書かれていた。
 それを発見した小学5年生の新郎は、何だかタイムスリップした様な気分になり、あの頃の純真な心を思い出した。そして、母にもう少し素直になろう、もう少し元気を出そうという気持ちになったそうだ。

 その話を隣で聞いていた新婦のニコニコとした笑顔が、とても可愛かったな〜。



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