たかがダンス・されどダンス   丹後捨夫   January, 2009
                               たんごすてっぷ


 ダンスが盛んである。最近年配者のダンス熱は著しいものがある。初心者からその昔鳴らしたことのある人も入り交じって見ていても楽しい。
 たかがダンス・されどダンスの話題は賑やかである。
 各サークルは、機会を作っては、ホールのある喫茶店やパブに集合したり、ホテルで食事を兼ねてダンスパーティを繰り広げて居る。
 二泊三日の旅行ともなると、ダンスのドレスとシューズは必ず持参する。回を重ねるに従って当然の如く展開される。目出度くゴールインする組は祝福されたり、恨まれたりするが、目下家庭争議中らしい話しも聞いたりする。たかがダンスである。

 されどダンスは恐ろしい。レッスンのあとの軽い食事から始まって、二次会、三次会と発展する常連も出現するらしい。その翌日の情報伝播は静かな動揺となる。たまたま噂のサークルのメンバーの一人が、二次会を早々に切り上げて家に帰っても、証明する者が居なくて、とんだ濡れ衣を着せられたりする。家では誰も文句をいう人がいない者などは、噂に輪をかけて陰口をたたかれる。
 火の気か、煙か知らないが、真偽のほどを詮索するのも無粋な話しだが、たかがダンスとばかりいってはいられない。疑われないためにも、自分達だけの垣根を作らずに、交流レッスンを呼び掛けられた時は、喜んで参加することである。“なんでよその組にいく必要があるんだ”なんて意地を張って、感情をむき出しての反対は見苦しい。たかがダンスである。なんで素直になれないのか?


 硬直した精神では、到底軽いステップは踏めまい。多勢の中には気の合わぬ者がいるのは、ダンスの世界ばかりとは限らない。
 脱会して他の組に入るとそこに同類が待ち受けて居る。同類の中で、また気が合わずに脱落者が出て行く。“浮遊性脱落症候群”としておこう。
 たかがダンスである。気に入らぬといって直ぐに飛び出さずに仲間と付き合って居る内に症候も軽く治まる筈である。
 いくら練習を積み重ねてみた所で、胴長短足、お世辞を言わせて頂くならば、太めのマドンナの称号でも捧げよう。
 たかがダンス・されどダンスは嬉しい。


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